The Hookを取ったばかりの人にとって、次の1本を選ぶハードルは案外高い。 何十本もの動画DLが横並びになっていて、値段以外の判断材料がない。 そこで今回は逆の作業をした。1,500円前後のカードマジックを手当たり次第に洗い、Penguin MagicのレビューやYouTubeの実演レビューで裏が取れたものだけを残す、という選び方である。
結果として残ったのは3本だけだった。 候補には有名な演者の作品もいくつか含まれていたが、レビュー欄が空のまま、あるいは低評価が1件だけというものが大半で、それらは正直に外している。
Card Ambitious(Kenneth Costa)
アンビシャスカードは、観客が選んだカードがデッキのどこに戻しても勝手にトップへ上がってくる、カードマジックでもっとも知られた現象の一つである。 Card Ambitiousはこの現象を「デッキの一番下に入れたはずのカードが、一瞬でトップに現れる」という形で見せる小品で、単体の演目としても、既存のアンビシャスカードのルーティンに1手足すクライマックスとしても使える。
Penguin Magicのレビュー欄には6件の評価が集まっており、平均は5点満点中3.3。 高評価の側は「友人にやったら、下に入れたはずのカードが上がってきて信じられない顔をしていた」「アンビシャスカードのルーティンに組み込むつもりだ」と、現象そのものの見え方を評価している。 一方で低評価の側は率直に厳しい。 「準備に時間がかかりすぎる」「使い切りのギミックを毎回作り直す必要があり、観客に調べさせられない」という指摘があり、返金を求めたという声もあった。 つまりこの作品は、現象の見た目と、演じるまでの手間が引き換えになっている。 1回演じるごとにギミックカードを作り直す前提を許容できるかどうかで、評価が真っ二つに割れている。
The Adjustment Bureau A.C.A.A.N.(Brad Ballew)
ACAAN(Any Card at Any Number)は、観客が自由に選んだ数字とカードが、演者が一切デッキに触れないまま一致する現象で、数あるメンタル系カードマジックの中でも特に「不可能性」が高いジャンルとされる。 The Adjustment Bureauはこれを、映画『アジャストメント』を下敷きにした語り口で見せる小品で、使うのは普通のデッキと紙とペン、それに観客のスマホの電卓だけである。
YouTubeのマジックレビュー番組Magic Orthodoxyが実際に演じた上でレビューしている。 レビュアーは「これといったスライハンドが要らず、観客はいつでも52枚のどのカードでも自由に選べる」と手順の公明正大さを評価し、実演を通しで見せたうえで「10ドルなら十分に元が取れる。数字を使ったトリックが好きなら、Bradの解法は気に入るはずだ」と締めている。 唯一の留保は、実演中に選ばれた数字の並びがやや不自然に見える瞬間があった、という程度の指摘で、現象の成立そのものには触れていない。 海外のレビュー全体を見ても、これだけ実演込みで丁寧に評価されている1,500円台の商品は多くなかった。
The Artful Switch(Happy Magic)
カードコントロール(観客に気づかれずに特定のカードを望みの位置へ動かす技術)は、多くのカードマジックの土台になる技法である。 The Artful Switchは、単体の現象ではなくこのコントロール技術そのものを教える1本で、習得すれば他の演目に流用できる汎用性がある。
Penguin Magicのレビューは1件のみだが、内容は具体的である。 「レイマン(一般客)に対してはトップへのコントロールとして十分に欺瞞的」と技術面を認めたうえで、星4をつけている。 一方で同じレビューには「10ドルは正直高い。ただ、値段を気にしないなら道具箱に加える価値はある」という留保もある。 レビューが1件しかない以上、これを多数派の評価として扱うことはできない。 それでも、実際に試した人間が技法としての完成度を認めていることは、選ぶ理由になると判断した。
選ばなかった理由
候補には、このほかに十数本の作品を含めていた。 実際にPenguin Magicの各商品ページを一つずつ確認したが、ほとんどが「まだレビューがありません」という状態で、実質的にレビュー0件だった。 見つかった評価が低評価1件だけ、という例もあり、それを根拠に勧めることはできなかった。 値段と現象の説明だけを見ればどれも魅力的に読めるが、それは商品ページの宣伝文句であって、買った人の感想ではない。 評判が確認できないものを「たぶん良さそう」で並べるより、見つかった3本だけを正直に紹介する方を選んだ。
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海外の評判は出典リンク先の公開情報を当店で要約したものです。技法の内容や手順には触れていません。